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旧ブログ(2010-11)

漫画感想

漫画感想

2010年の読みおさめの漫画となったアイアムアヒーロー。2010年の読みはじめの漫画はなんだったろうか。覚えておけば良かったな。今年はこのブログがあるので覚えていられる。2011年もたくさん面白い漫画に出会えるといいな。

アイアムアヒーローもとうとう5巻である。この物語の幕開けとなった1巻ラストの衝動は未だに忘れられない。この漫画を読むのであれば、一切の前知識を頭に入れないで読むことが一番良いことだと思うのだが、既に様々な所で注目されているのでそれはもう無理なのだろう。自分は幸いにも表紙と背表紙くらいの知識で1巻を手に取ることが出来たので凄く良かったと思う。スピリッツで追っていた人の衝撃は一体どれほどだったのだろう。1巻はそれくらい衝撃的だった。

さて、この5巻であるが今回も見開きのコマが凄い。48話の赤ちゃんが地を這うシーンの恐怖感、50話の終わりから51話のはじめにかけての群集のシーンの静と動の感覚など、とにかく凄い! 1巻7話ラストの見開き、11話ラストの4連見開き、2巻17話の畑のシーン、20話の三谷さんのシーン、4巻36話の紗枝ちゃんのシーン、37話の最初と最後の見開き、44話のDQNのシーンなど、上げればきりが無いのだが、とにかく見開きがこの漫画の大きなポイントであると自分は考える。

例えば1巻7話ラストの見開きで言えば、そこに至るまでの英雄の悲痛な叫びや感情が、その見開きでなんともいえない寂寥感とともに読者に襲い掛かってくる。4巻36話では、主人公英雄とヒロイン比呂美目掛けて、得体の知れない何かが迫ってくるシーンをなんと4連続の見開き(計8ページ)も使って描いている。得体の知れないその何かの視点から描かれた、それが主人公目掛けだんだんと迫ってくる様は、読者の恐怖心を確実に煽り立てる。

二つ例を挙げたが、このアイアムアヒーローの見開きの使い方はとても効果的であるとともに、この作品を語る上では外せないポイントであると思う。こちらには見開きの画像ともにアイアムアヒーローの視覚効果の考察が書かれているのでご紹介。アイアムアヒーローは話の展開が遅い、見開きが多すぎる、との記述をよく見かけるのだが、自分はこの見開きや丁寧な時間描写こそがこの作品の醍醐味であると考える。

  • SCATTER2巻

こちらが自分の2011年の読みはじめの漫画となった。新井英樹の作品を読むのはこの作品が初めてで、1巻の時点ではなんという変態漫画だろうかという感想を抱いた。1巻の1話目の1ページ目の1コマ目から性行為を描くと言う衝撃。その次のページの見開きも圧巻なのだが、1巻に収録されている6話全てにわたって変態的である。レイプから始まり、青姦、その盗撮、オナニー、スカトロ……とにかく変態漫画だ。勃起で終わるというこのSCATTERの1巻のラストも中々衝撃的と言うか、笑撃的な引きであったなと思う。是非これは実際に読んで体感してほしい。

そしてこの2巻。1巻に引き続き変態さは健在であった。凄く笑った。ギャグ漫画かというくらいに。いや、これはギャグ漫画だ。そう言いたくなるくらい面白い。マンコなう、ノブ子、カウパー祭り、バター犬……とにかく面白い。暗く不穏な表紙、センセーショナルな帯とは裏腹に内容はかなり笑えるものとなっている。今巻の引きもお漏らしで終わるという笑撃的な終わり方であった。

ただつらつらと変態だ変態だと書き綴ってきたが、それだけの漫画では決して無い。話の肝となっていくであろう1巻1話で描かれた変態コスプレレイプ魔の一団。この2巻ではその一団の一人と主人公格である久保とのファーストコンタクトが描かれている。1巻の帯に"天より降り来る静かな災い 地より湧き出る微かな狂気"とある。天より飛来した精子のような化け物。地より湧き出るどうしようもない性衝動。この二つがどのように交わり、どのように展開していくのか。必見である。


またここからは推量。ネタバレを含むので既読の方向け。


SCATTER考察

自分は最初空から飛来したUFO的なものからレイプ団が指令を受けてレイプしてるのかなと思っていたのだが、アマゾンのレビューにあった

寝ている人間の股間に寄生した、それを撃退するのはヒーロー…ではなく
覆面被った謎の変態レイパー。

との文を読んでああなるほどと思わせられた。つまりレイプ団はアンチヒーローなのだ。そう思うと色々と納得がいった。scatterでは今のところこの寄生生物は女にのみ寄生していると思われるのだが、もしかしたら久保も既に寄生されているのではないか。だからこそ溢れんばかりにカウパーがだだ漏れし、精液が底をつかないんじゃないか。

久保の股間に顔をうずめるハナの態度。おさまらぬ性衝動に涙を流す久保。"お前らしくない"と言われるジェフの行動。レイプ団の丸の視線。久保の"「俺」にっ聞くな!!" という叫び。久保に寄生していると考えるのはいい線行っているような気がする。

2巻では攻撃的な寄生生物が出てきた。勝手に紙が浮いたりオートロックが開いたりしていた。1巻では勝手にテレビや電気が消えたりドアが開いたりしていた。コレは透明な宇宙人か、それとも寄生生物のテレキネシスか。

というか寄生生物のテレキネシスでドアを開けているのならレイプ団はアンチヒーローではない? 逆に精液を注ぎ込むことによって寄生生物の援助をしている? だったら2巻の拒否をするような寄生生物の行動はおかしい。

考えれば考えるほど訳が分からなくなってきたので素直に続刊を待つことにする。